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Собака и Кошка


パストサラミと目玉焼き2
by pastsarami
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パクさん その2

アジアのひとが時々こうして違う国の映画を撮る。
さばかはあまり好きじゃないときが多い。
でも別に悪い映画だったわけじゃないよ。

『STOKER』
監督:パク・チャヌク
脚本・共同製作:ウェントワース・ミラー
製作:リドニー・スコット、トニー・スコット、マイケル・コスティガン
撮影監督:チョン・ジョンフン
プロダクション・デザイナー:テレーズ・デプレス
編集:ニコラス・デ・トス
衣装デザイナー:カート・スワンソン、バート・ミュラー
音楽:クリント・マンセル




邦題は『イノセント・ガーデン』。
いい邦題。

原題のSTOKERは…ストーカー一家のお話だからなのと、
やっぱり所謂「ストーカー」忍び寄る者の音にかけてるんだよね。綴りは違うけど。
このかけ方がちょっと…この映画全般にちょいちょいあるんだけど、説明の役割を果たす、
残念な効果を生んでしまってる。
もう少しこっそりとしたかけ方のほうが個人的には。
文章のなかだけだったらそうでもないのかもしれないけど、映画になるとなんかうるさくなる。

パク監督がこの脚本に興味を持ったのは主人公が自分の娘と同じ年で、
その成長過程を表す作品だったのと、余白がある脚本だったから 
だそうで。

余白。
確かに外国の本とか読んでて、やけに余白を感じるものがある。
『ポビーとディンガン』とか。
でもこの「余白がある」っていうはっきりした文字としての表現は自分の中になかったから
ああそうか、余白!ってちょっと、はっとした。

その余白に監督にとっては自由なスペースが見えて、それがひとつ大きな興味だったみたいなんだけど
それでもまだこの作品にはいい余白ってのがある。
あの誕生日に毎年同じデザインの靴をプレゼントされるとか最後とかいろいろ付け加えてるのに
まだこの映画は余白がいっぱいで、そこはすきだった。

この映画、すごくリスニングしやすい。字幕なくてもいいくらい。
だから役者の音とか余白とかが他の映画より印象に残る。

ただ、さっき云った説明にげんなりする。
パク監督作品って考えると、やっぱり過剰に期待をしてしまうから余計に。

いちばんやだなとおもったのが、ピアノの連弾シーン。
普通の人ならいいの。だからニコール・キッドマンはいいの。普通のひと設定だから。
でもふたり違うじゃない。異常に音とか気配に敏感っていう設定なのに、
あの連弾はあまりにも説明過ぎた。
あのふたりだったら直接一緒に弾く画は要らなかった。
ミアにはそれだけの表現力があるから。
本当に連弾してる設定シーンに見えたけど、もしミアのイマージュの中の連弾だっていうなら
別にいい方向だったとおもう。ただあの見せ方だったらそれが伝わりにくい。

本当に連弾してる設定なら…どうかとおもう。

役者は…主演のミア・ワシコウスカが本当にすばらしかった。
この作品のミアは何ともいえない髪の色で、バッチリ合ってる。
カツラなんだって。
叔父役のマシュー・グッドの色と合わせて、母親役のニコール・キッドマンの疎外感を強めた
らしい…成程!

ミアは普段はなんかそんなでもないルックスなんだけど、憑依型なのかな。
クラシックなもの、ちょっとダークなものに入るとガーンと変わる。
ミアが着ることで服はほんとにきれいにお洒落に見えたし、ひとつひとつのディティールがどんどん目の中にとびこんでくる。

ただ他の役者さんは…と云うと。
さばかは普段アメリカの映画見ないからニコール・キッドマンをちゃんと見たのは初めてなんだけど
このひとは主役のひとなんだとおもう。大事だけど主役ではない役を演じられる女優ではないんだとおもう。
画としては印象的なんだけど、完全にミアに喰われてた。
画としてのニコール・キッドマンは疎外感を伴う娘に対する複雑な想いを抱く女を瞬時に表現してた。
でもその画と肩を並べるほどの内面の表現力はなかった。
シルクの肌着?は完全にニコールの方が似合ってるけど!

あと、ほんとに残念だったのは、叔父役のマシュー・グッド。
このひと、ウッディ・アレン作品に出たひとなんだね。
うむ!かなりウッディっぽいな!納得!
このひとも完全にミアに喰われてしまって、役どころの割に薄い。
ものすごく薄い。

ミア以外はさ、どうしても薄くて。ディティールに負けちゃうの。
家具とか洋服、そういうものに負けちゃう。
出てくる役は少ないから、存在感ってのが大事になる作品だった。
でもそれに見合った役者が果たして何人いたか。

とは言え、お洒落だしきれいな映画だった。
冒頭の文字遊びなんかびっくりした。
あまりに遊んでて、こいつ伝える気ないなと苦笑した程。
CGのお洒落加減が半端なかった。

Собака
by pastsarami | 2013-09-20 12:54 | на днях
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